膣の自浄作用が弱まるとデリケートゾーンが黒ずむの?
目次
膣の自浄作用とは何かご存じですか?
そんな単語初めて聞いたという方もいらっしゃるかもしれませんが、健康な女性であれば誰しもが自然と行っているという行為なのです。
もちろん、
「あっ!今、自浄作用行っているな!」
なんて分かるものではないですが…(笑)
女性にとっては必要不可欠な要素であることは間違いありません。
極端に言えば、今まで膣トラブルに見舞われたことのない方は自浄作用のおかげとも言いかえることができるのです。
それくらい、女性の健康に大きな影響を与える自浄作用。
今回はこの膣の自浄作用と、その自浄作用が無くなってしまったらどういうことが起こってしまうのかについて書いてみました♪
自浄作用って何??
『膣の自浄作用』という言葉を聞いたことが無い人であっても、『膣が酸性寄り』というという情報は聞いたことがあるのではないでしょうか。
そもそも、なぜ膣は酸性よりを保っているのかご存じですか?
膣は自らの状態を酸性に保つことで雑菌の繁殖を抑えるという働きがあります。
これが『自浄=自らの力だけで汚れを取り去ること』と言われる由来です。
特にデリケートゾーンは排泄物の付着や、汗や皮脂といった分泌量が多く、雑菌が非常に繁殖しやすい環境が整っています。
そんな中でデリケートゾーンの自浄作用が低下し、酸性状態が保たれなくなると、雑菌が繁殖するだけでなく、膣内に雑菌が入り込み病気を引き起こしやすくなってしまいます。
酸性度を数値で表すと、大体pH4の数値を保っている膣内ですが、一時的に酸性ではなくなってしまう時があります。
例えば、お風呂に入った時やビデを使った時は、お水の中性(pH7程度)の影響を受けて酸性ではなくなってしまうのです。
しかし、健康な人であれば30分もあれば自然と酸性状態へまた戻っていきます。
遅い人でも3時間程度あれば酸性に戻ると言われているので、お水が触れてしまったからといって過度に心配する必要はありません。
また、あまり良いイメージが無いおりものも自浄作用を支える大きな要因となっています。
自浄作用ってどうやって起こるの?
なぜ、体は自然と自浄作用という働きをしてくれるのでしょうか。
それは、女性ホルモンの影響を大きく受けています。
仕組みとしては…
1:女性ホルモンの1つであるエストロゲンが卵巣から分泌されるたびに、粘膜の上皮細胞が脱落と再生を繰り返す
2:上皮細胞には、大量のグリコーゲンという成分が含まれており、膣内に存在する常在菌(デーデルライン桿菌)がこのグリコーゲンを乳酸に変えることで、膣内の酸性状態を作り出している
というわけです。
そのため、常在菌の数が少なくなってしまったり、ホルモンバランスが崩れてしまったりすると自浄作用が弱まってしまうと言えるのです。
では、より具体的に自浄作用が弱まってしまう原因を見てみましょう。
自浄作用の働きが弱まってしまう原因とは?
健康であれば基本的には自浄作用の働きが鈍ることはありませんが、先ほどもお伝えしたように様々な要因を受けて自浄作用の働きが弱まってしまう場合があります。
①体調不良
体調不良により免疫力が低下してしまうと、ホルモンバランスが崩れてしまうようになります。
過度のダイエットで生理が止まってしまったといった話を聞いたことがありますか?
このように、健康状態とホルモンバランスは切っても切れない状態にあります。
そのため、健康状態が悪いとホルモン分泌が減り、膣内の酸性状態が保てなくなってしまうのです。
②抗生物質を利用している
抗生物質は体内に入り込んだ雑菌の働きを抑制し、体調の改善に努めるときに使う薬です。風邪になった時飲んだことがあるという方も多いですよね。
実は抗生物質は膣を酸性に保ってくれる要因の1つである常在菌デーデルライン桿菌までも退治してしまうのです。
特に、長期にわたって抗生物質を服用しているという方は注意が必要です。
③洗浄しすぎ
洗浄に使うお水やお湯は中性、石鹸はアルカリ性ということで、膣の酸性状態を邪魔する要素が多く、洗い過ぎてしまうと酸性の状態を保てなくなってしまいます。
例えば、酸性状態に戻るまでに1時間かかる人が、1時間ごとにトイレでビデを使用していたら酸性状態の時間は無いですよね。
このように、酸性状態を保つには過度の洗い過ぎは厳禁なのです。
④エストロゲンホルモンの減少
自浄作用が働く要因の1つにエストロゲンという女性ホルモンが関係しているとお伝えしましたが、エストロゲンは年齢と共に減少傾向にあります。
特に、閉経を迎える40~50代の方は女性ホルモンのバランスが乱れやすく、エストロゲンも減少しやすいので、自浄作用の働きが弱くなりやすいと言えるでしょう。
もちろん、閉経していないから関係ないというわけではありません。
エストロゲンは若い人だと生理や妊娠といったものでも左右されるものです。
また、喫煙もエストロゲンホルモンを減少させてしまう要因と言われています。
自浄作用が働かなくなるとどういった病気になるの?
自浄作用が大切なものというのは何となく理解できたかと思いますが、実際に自浄作用が無くなってしまうとどういった症状に見舞われるのでしょうか。
少しだけご紹介させていただきますね。
・カンジダ膣炎
女性の5人に1人が感染したことがあるというカンジダ膣炎。
すでに過去の記事に目を通してくださった方であればお分かりいただけると思いますが、カンジダ膣炎は性感染症ではありません。
感染経路も圧倒的に自己感染が多い病気です。
体の中に存在している常在菌が、自浄作用が弱まってしまうことにより大量繁殖し、酷い痒みが出てしまう病気です。
おりものにも異常が見られ、ポロポロとした特徴のある状態になるので見分けはつきやすいかと思います。
再発しやすい病気なので、1度発症してしまうと非常に厄介な病気です。
しっかりと病院で治療し、長引かせないように気をつけましょう。
・非特異性膣炎
同じく自浄作用が低下することで起こる病気に非特異性膣炎(ひとくいせいちつえん)があります。かゆみは見られないものの、下腹部の痛みや外陰部の腫れ、ただれ、おりものにも黄色や緑色といった異変が見られるようになります。
また強いニオイを放つ場合もあるので、異変には気づきやすいのではないでしょうか。
自浄作用が正常に働けば自然治癒の可能性もありますが、異変に気付いたら婦人科を受診するようにしましょう。
・膣トリコモナス
膣トリコモナスは、どちらかといえば自浄作用が弱まって感染するというわけではなく、感染してしまうことで自浄作用が弱まってしまうといった方が正しいかもしれません。
膣トリコモナスの原因となる、トリコモナス原虫は自浄作用の大切な要素の1つ、グリコーゲンを好物としているため、トリコモナス原虫によりグリコーゲンが食べられてしまい自浄作用が上手くはたらかなくなり、かゆみやニオイといった症状が出てきてしまうのです。
悪化してしまうと流産などの可能性が出てきてしまうため、早めの対策が大切です。
泡状のおりものや、悪臭といった特徴があるので比較的判断しやすい病気です。
性行為以外でも感染する可能性があるので十分に注意が必要となってきます。
自浄作用が衰えるとデリケートゾーンに黒ずみが出来る?
自浄作用が弱まったことでデリケートゾーンに黒ずみができるかと言われればそうではありません。
しかし、自浄作用が弱まったことで病気を引き起こし、その病気によってお肌がただれたりしてしまえば、黒ずんでしまう可能性も出てきてしまいます。
生活が不規則だなと感じる人は、生活習慣を見直すこと、エストロゲンホルモンがすでに低下しているという方はホルモン治療を受けることも可能です。
しっかりとした健康管理を行い、自浄作用を機能させるようにしましょう。